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日本慢性疼痛学会 理事長就任挨拶

日本慢性疼痛学会 理事長
京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学教室
細川 豊史


この度、私、京都府立医科大学疼痛・緩和医療学教室 細川豊史が、2017年2月より、日本慢性疼痛学会の理事長を拝命致しました。ここに、一言、御挨拶させて頂きます。

本学会は、1982年に研究会として発足し、その後20回の研究会の開催後、1992年より学会として、今日に至っています。画一的、形式的な運営に流れることなく、会員相互の自由な意見交換の場として、慢性疼痛の病態の解明と診断についての研究成果を社会に還元し、市民の健康増進や福祉に役立たせ、更に会員相互の親睦を図ることを目的として、慢性疼痛に関する教育・研究、そしてその臨床に深く関わっておられる医師、歯科医師、薬剤師、看護士、理学療法士や鍼灸師など多岐にわたる職種から構成されており、現在約550名の会員を擁しています。本年、2017年2月17日(金)、18日(土)には、第46回日本慢性疼痛学会を、私が会長として、京都三大学教養教育共同化施設「稲盛記念会館」にて、“痛みを俯瞰する”をテーマに、512名の参加を得て、開催させていただきました。

今更ながらですが、慢性疼痛(chronic pain)は、“急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み”と定義されており、臨床的には、痛みの継続期間が、3ヶ月、または、6ヶ月以上とされています。一方では、期間に拘泥しないという意見もあります。定義は一旦措くとしても、世界的にも、本邦においても、その有病率が高い事は事実であり、この慢性疼痛の治療、研究、教育には、極めて幅広い知識、経験、アイディア、その全てを駆使して向き合わなければならないことは間違いありません。このため、上記のような多岐にわたる職種が協力して、慢性疼痛克服へのApproachを行っているわけです。医療機関を訪れる患者の約70%はどこかの“痛み”を主訴としているともいわれており、痛みは、“第5のVital Sign”と呼称されています。この痛みという重要なsignから、その原因や疾患の診断が出来、器質的原因を有する急性痛の単なる持続である痛みを持つ患者を発見することも日常の臨床では多くあります。しかし、残念ながら、世間一般では、漠然と“慢性疼痛”という診断名が付けられ、漠然とその治療がなされ、一向に軽快しない症例も数多く存在しています。最近では、がん治療の進歩により、がん診断後、長期に亘り、“がん”と共存される多くの患者さんがおられます。こういった患者さんの“がん”治療による痛みや“がん”と関係のない慢性疼痛にも、“がん”そのものによる“がん”疼痛と同様の治療を受けてしまっておられるケースが多々あります。“がん患者さんの非がん性慢性疼痛”の正しい痛みのコントロールが大きな問題となってきています。

慢性疼痛克服には、そのスタートラインである診断にも重きを置く必要があります。専門医・歯科医、メディカルスタッフ発足の検討ワーキンググループがこの学会で活動を始めているのも、痛みの専門的知識と診断能力、そして治療への道を示せる医療者を育てていく目的からであります。

慢性疼痛を持つ患者さんの“つらさ”を少しでも軽減できるように、基礎、臨床、研究、教育といった幅広い観点から、見つめていける学会運営をこれからも目指したいと思っております。

関連領域の各位の御協力を今後共、宜しくお願い申し上げます。

平成29年2月

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